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またスゴイもの見つけてしまいました。
あの「惡の華」で大ヒットを飛ばした
押見修造先生の新作。
今頃知りましたが、まだ全5巻です。
(※2019年5月時点)
今から読んでも全然遅くない。
押見先生の鬼才ぶりが存分に発揮された
本作。久々にものすごい作品に
出会えた興奮でドキドキしています。
ネタバレ部分はしっかりと
注意書きをして余白を空けているので
ご安心ください。
それでは、
血の轍の魅力について
- あらすじ
- 見どころ
- ネタバレなしの感想
- ネタバレありの考察や静子のヒミツ
などなど
押見修造の「血の轍」について
書いていきます。
目次(この記事で分かること)
漫画:血の轍(ちのわだち)のあらすじ
中学二年生の長部静一は、
母、静子から過保護に愛情たっぷり注がれて
“何の変哲もなく”暮らしていた。
しかし、ある日の夏。
静一の日常は母・静子によって
狂乱の底へと導かれる。
不穏な空気で手に汗にじむ。
シルクのなめらかな布で
首を締め付けられるような
圧迫感、
毒親との生活を
圧倒的な描写で削り出し
読むものを釘付けにする
超ド級の最新サイコサスペンス。
血の轍ーー。
ビビ
自分の言葉で書いてみたよ。
マジで息を呑むように
ページをめくってしまうマンガだ……。
ナゾの男
映画かもしれない。
轍(わだち)とは?
「わだち」とは、
走行した後の車が道に残した
車輪の跡のことを言います。
ビビ
血の轍ってホントに
余白が残るいい名前だと思う
漫画「血の轍」の見どころその1:言葉以上に絵で語る迫力
血の轍の見どころは
ホントに沢山あるのですが、
まずなんと言っても言葉以上に
▼情報量のある迫力のある絵ではないでしょうか。
目や表情の描き方に注目です。
※ネタバレシーンでも無いですが、
ネタバレを避ける為、念のため一部モザイクにしています。
▼次の1コマです。
上記2点の画像出典:血の轍の2巻(押見修造著)
この目と表情……。
何かが起きているのは間違いないですよね笑。
言葉が無くとも、この男の子。
主人公静一の感情が生々しく伝わるのでは
無いでしょうか?
あの惡の華の作者とは思えないほど、
画風も変化しています。
この感情を生々しく削り取る描き方。
登場人物の感情をリアルに描く点で言えば、
「押見修造」の右に出るものは
居ないでしょう。
このように台詞が少ないものの、
画力や魅せ方そのものが最高に素晴らしくて
もはやマンガを読んでいる
感覚にはなりません。
一つの映画を観ているかの様な気持ちにさせます。
似たような手法としては、
花沢健吾著、アイアムアヒーローの中で
主人公が勇気を振り絞って
行動するシーンなんかは、
映画の様なコマ割りになっており、
台詞も少なく魅せたりしています。
メリハリを持ってピンポイントで
魅せるというのは、花沢健吾然り、
これまで見た事がありますが、
この血の轍の場合は、
ほぼ終始ことばが少なく、
表情や感情を極限まで削り出して
表現する事で
読者自身の奥底にあるモヤモヤした感情や
息苦しさみたいなものを
引き出させようとしており、
読むというよりも、体験する。
に近いようなそんな感覚を
引き起こさせてくれます。
正直、この作者の才能が末恐ろしいです。
間違いなく天才、鬼才、変態だと言えます。
全コマ何一つ無駄なし。
スゴすぎます。
漫画「血の轍」の見どころその2:記憶の共通点を描いている
先ほど書いたように、
読むというよりも、
読者自身が追体験するような、
読者の記憶の中にある
様々な映像が溢れ出るような
そんな感覚になるのですが、
それは何故かと言うと、
どの場面もみんなが体験した事のある
記憶の中の1コマを丁寧に描写しています。
画像出典:血の轍の1巻(押見修造著)
例えばこのシーン。
多くの人が体験した事のある
親同士の会話についていけない。
親戚同士の会話についていけない。
みたいな疎外感のある場面。
2コマ目の左側に母の静子と静一がいます。
3コマ目は、静子側から見た目線ですね。
こういった細かい技がふんだんに
盛り込まれています。
誰もが経験した事のある一場面を
丁寧に入れていく。
これって、過去の記憶を自分の中で
探っていくだけでも物凄く大変だと
思うのですが、そこからさらに
多くの人が共通で持つ記憶を探して
その1シーンを形にする作業なので、
どのシーンも、さらっと描いているように見えて、
物凄くむずかしいと思います。
例えば、このシーンなんかもスゴイです。
押見修造の表現力その1
画像出典:血の轍の2巻(押見修造著)
階段を上る何気ないシーンですが、
このアングル。どこかで見覚えないですか?
友達や知人などと一緒に階段を上る時、
少なからずこの様な映像を
私達は普段の体験の中で観ているはずです。
近すぎず、遠すぎず、ちょうど
誰もが観たことあるなと感じるシーンだと思います。
押見修造の表現力その2
次に主人公が車に乗って移動するシーンです。
画像出典:血の轍の2巻(押見修造著)
この風景。きっと誰もが観たことあると思います。
記憶の中を探ってみてください。
きっとあります。車内から外の景色が
次々に変わりゆく、その何気ないシーン。
こういった誰もが持っている記憶を
丁寧に描写するためには、
無意識なものに意識的にならないといけません。
日常を忠実に観察する必要があるんです。
例えば、転んで痛いと思った時、
痛みがどのように変化するのか?
歩く時、人はどのように手足を動かしているのか?
といった具合に、無意識なものに
積極的に目を向けないと
このような描写はできません。
誰もが取りこぼした様々な思い出や
記憶の数々を丁寧に整理して
選別し、誰の心にも突き刺さるように描いていく。
これはものすごい事です。
押見修造の表現力その3
画像出典:血の轍の2巻(押見修造著)
次にこのシーンを見てみましょう。
主人公が麦茶を入れるシーンです。
これ、すごくないですか?笑
麦茶を入れる何気ない1コマですら、
- 麦茶をコップに注ぐ瞬間
- 麦茶を冷蔵庫のドア部分の隙間に
ガチャっと収納する瞬間
これ、私達が日常の中でよく見る光景ですよね。
このシーンは本当に漫画の中でも
重要とされていない何気ないシーンです。
そんなスルーしがちな何気ないページの
1コマですら皆の記憶の中にある映像の一部を
どうにか探して入れ込んでいる。
1コマ、1コマ、どのシーンも終始この調子で
全力を注いでいるんです。
ビビ
この漫画のスゴイ所を挙げていくと
ほんとにキリがないレベルで
ホントに狂気としか言いようがないです笑
間違いなくいい意味で
天才鬼才大変態。
持ち上げ過ぎと思いますか?
これだけ挙げても持ち上げたりませんよw正直。
漫画「血の轍」の見どころその3:不穏な空気がダダ漏れ
画像出典:血の轍の2巻(押見修造著)
先ほど書いた丁寧な記憶の描写と
言葉ではなく絵で伝える
という圧倒的な表現力が
うまく組み合わさって、
この漫画「血の轍」には終始、
不穏な空気が流れています。
人によってはページを捲れない事もあるでしょう。
例えるなら、
月夜の晩に、お化けが出ると噂されている
廃墟となったお屋敷に少人数で足を踏み入れ、
探索していると「誰も居ないはずの扉」から
微かに音が聞こえてきて、
その音鳴る方向にある鉄製の大きな扉を
はじめて開ける瞬間の感覚。
に近いです。
ナゾの男
ビビ
他の例えでいうと、
シルクの柔らかい布で優しく
首を締め付けられているような感覚。
とでも言いましょうか。
不穏なる空気の圧迫感が物凄くて
マジで読めない人も居るかと思います。
毒親に育てられたトラウマが消えない人で
毒親を思い出したら苦しくなる。
みたいな人は厳しいかもしれません。
ただ、この空気がいい意味でスリルを
味あわせてくれてゾクゾクします。
緊張感を持って漫画を読み進めるのは、
何年ぶりだろう。
という感じで、
ストーリー展開も普通におもしろいので、
読んで損はないです。
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解約の時に迷わない様に、
以下の解約方法が書いてある
ページをセットで
ブックマークしておくと便利です。
ビビ
ネタバレ考察を含みます。
まだ読んでない方やネタバレしたくない方は
この先は読まない方がいいです。
ビビ
1巻や2巻を読んだ後に
このページの考察を見に来ても面白いかも
漫画「血の轍」のネタバレ考察感想
血の轍のネタバレ考察をしていきます。
漫画「血の轍」のネタバレ考察その1:物語は過去?
画像出典:血の轍の1巻(押見修造著)
まずこのストーリーを考察する上で
とても重要な点ですが、
時代設定が平成初期なんですよね。
漫画の最後のページにある静一の誕生年から
13歳静一の年齢を足すと1994年の設定になります。
なので、生活の中にある家電家具も
その当時のまんまです。
上の画像では固定電話です。
今どきありません。
画像出典:血の轍の1巻(押見修造著)
また、このシーンでは
ブラウン管のテレビで
ぷよぷよをプレイしています。
これも今どきではありません。
これが、2019年設定であれば不自然です。
ちなみに、静一の部屋には
オーディオスピーカーがあり、
平成初期に流行ったものです。
また、2巻の扉絵ページには
この様なイラストが描かれています。
画像出典:血の轍の2巻(押見修造著)
四隅は黒で塗りつぶされており、
カメラで観ているかのような
思い出の中の描写のような表現です。
これは、回想シーンなどでよく使われる表現。
過去の記憶を思い返しているからこそ、
静子は若い設定になっています。
(思い出や記憶は美化されるので)
なので、このストーリーは大人になった静一が
過去の記憶を振り返っている
まさにその瞬間のストーリーという事になります。
もうこの時点で、めちゃめちゃに最高なんですが……笑。
あえて、そのようにしているという事は、
今まさに親として子供を育てている人たちを
ターゲットにしている可能性が非常に高いです。
まさに友達とぷよぷよで勝負してた世代ですねw
そして、静一が過去を振り返っているその中で、
まさに苦しい事ばかりが展開されていく時点で、
今未来に居る静一の心情やその状況は
あまりよろしく無い状態の可能性も高い。
ここら辺は、正直予想のしようがないところですが
今記憶の中の物語が展開されているのは、
間違いないでしょう。
メッセージ的には今親として
生活している人たちに何かを問いかけるような
展開になりそうです。
漫画「血の轍」のネタバレ考察その2:選ばせない静子の戦略
画像出典:血の轍の1巻(押見修造著)
静子は普通にしているように見えて、
静一が自ら行動できないように、
無意識レベルでコントロールしています。
2択の中から静一はただ選ぶだけ。
誰かが与えた選択肢を、選ぶ事しかできない。
その誰かこそが、静子である。
そのような感じで、
静一の行動力そのものを奪っている状態。
恐ろしい事が、これが子供の頃からなんです。
スルーしがちですが、この冒頭のネコのシーン。
画像出典:血の轍の1巻(押見修造著)
普通、子供って動物が居たら気にせずに
触りますよね。
けど、わざわざ
「ねぇママ!触ってもいい?」
と訪ねて了承を得ようとしています。
その後、「いいわよ」と言われて
やっとで触る。という状況。
静一が吹石さんから告白された事を、
「母親が居るから」という理由で
断ったのも納得できます。
こんな小さい頃からマインドコントロール
されているんです。
ラブレターを破られた静一は、
「ママどこにも行かないで」
と泣き叫びます。
それもきっと、精神的に大きな苦痛を
体験した際に何を選べばいいのか分からない。
何をしていいのか分からない。
という静一の心の叫びを救えるのが、
母 静子しかいないからでしょう。
なぜなら、静子が提示する選択肢しか
選ぶ事ができないようになっているから。
知らず知らずのうちに静一は
静子を求めるように仕向けられ、
静子はそんな状態で向けられた静一を
受け止める事で愛情を
実感しているのだと思います。
そんな小細工をしないと
息子の愛情を受ける事も与える事もできない。
だからこそ、静子は私は「ずっと独りぼっち」
というような内容を旦那に話しながら絶望します。
そして、それがラブレターを破いた
理由にもつながります。
静子と静一は共依存の関係なので、
その依存関係という内向きの愛情の矢印が
外に向いてしまってはこの関係が崩れてしまいます。
なので、静子は吹石を憎むはずです。
憎むべき相手とみなすはず。
今のところこの記事執筆時点では、
1巻〜3巻までしか読んでませんが、
きっとそうだと思います。
だって、この共依存が壊れたら
静子の精神も崩壊してしまいます。
(すでにヤバイですが……)
伏線
まずそもそも現状のストーリー自体が
過去という事自体大きな伏線ですが、
病院に居るしげちゃんの容態がよくなり、
意識が回復して話せるようになる可能性もあり、
こちらも伏線として残っています。
猫もありますし、
静子がおかしくなる背景も重要です。
様々な展開に今後も期待です。
あとがき
私の父親もいわゆる毒親で、
主人公静一が母の静子を
ジッと見ている時の表情とか、
母親に気を伺っている時の目線とか、
胸が苦しくなる感じや表情とか、
ものすごく共感できます。
というより、まんまそのまま同じ様な
体験をしています。
よくここまで漫画に再現できたなと
本当に関心しますし、
僕自身も吃音(きつおん)でした。
今では吃音の症状は治っていますが、
本当に主人公静一と全く同じような感じでした。
言いたい事を言えずにどんどん言葉が
詰まってしまう状況で、完全に親が原因です。
当時の父親はサイコ的な感じもあり、
というか、統合失調症で頭がバグった時があり、
壁をぶん殴って穴をあけたり、家の中のものを壊したり、
言うことを聞かなかったら、耳が聞こえなくなるぐらい叩かれたり、
家で理由なしに数時間立たされたりという
ことを受けていました。
その当時の事や、吃音をどうやって治したのか?
みたいな話しはお手数かけて申し訳ないですが……。
このサイトの検索欄に「吃音」と打って
検索すれば出てくるので、読んでみてください。
本記事は漫画がメインの内容なので、
その記事の紹介自体はしないでおきます。
という感じで、もう完全に主人公静一の
気持ちが分かる訳ですよ。
というか同じ状況で発症しましたから。
吃音が発症した時の状況も
友達にからかわれた感じも全く同じです。
作者の事を調べてみると、
作者自身も吃音症だったそうです。
そりゃそうだろうなと、
納得です。
ちょっとあり得ないぐらい、
ヤバイクオリティの漫画なので、
今後も楽しみです。
感想らしい感想は他の項目で書いてるので
ここでは書きませんが、
とりあえず、一言でヤバイぐらい最高の漫画。
って事です。
まだ1巻読んでないのにここまで読み進めた?
方々がもし居れば、ぜひ読んでみてください。
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ビビ
それじゃあまたね!
出会うべくして出会ったのかと、思わずにはおれないのですが『血の轍』を昨日一気に読んだばかりです。私は吃音と言うほどではなかったのですが、やはり言葉が出にくい性質でした。『血の轍』で吃音の表現が出てきたので、それで久しぶりに吃音を検索したところ、あなたのブログが目に止まりました。吃音について、本当に私も全くあなた様と同じ考えと言うか、長年研究されたと言う事で、私にとっては長年の凝りがきちんと表出され代弁されたようで、本当にスッキリしています。そうです、吃音は親の責任だと私も思います。私は早口で情緒不安定な母親に育てられました。私は幼い頃はおっとりとした性格だったようですが、母親からするとのろまで苛々したそうです。幼い頃より私は、早く話さないと聞いてもらえないと思い、焦っている内に何を話して良いかわからなくらなり、混乱して、言葉が出ないようになってしまいました。とにかく情緒不安定な母親なので、何をしたら地雷を踏むことになるのか、ビクビクして毎日を過ごしました。その内私が勉強さえしていれば機嫌がよかったので、とにかく勉強して部屋に閉じこもっていましたね。大人になって自立してからは、母親とは少しは良好な関係を築けましたが、話し方が上手くないコンプレックスは今でもあります。久しぶりにあなた様のブログと『血の轍』を読めてよかったです。今でも時々言葉の詰まり(特に電話応対の最初)がありますが、まぁ〜いいか〜と思えるまでになったので、昔に比べれば、精神的に楽になって良かったと思っています。長々失礼致しました。これからもブログ楽しみに拝見させて頂きます。有難うございました。
く吃音
親は選べませんもんね
私も今親になり、子育て奮闘中なのですが
毒親にはならないように、過保護すぎないように育てていきたいとおもいます。
知らず知らずのうちにそうなってるかもしれない、子供はどう思ってるのかとかすごく気になりますが、気楽に楽しく子育てできればなと血の轍、この記事を見て思いました。
ブログ読めてよかったです