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夜の渋谷を歩いてみたら、5分おきに人間ドラマ見せられてすごかった話(実話)

夜の渋谷日記

今日も渋谷は平和で、渋谷は日本の東京で、
流行のど真ん中で、トラブルのど真ん中で、

渋谷って輝かしいイメージの裏で、
とてつもなく寂しさが袋いっぱいに詰まっている
ヘリウムガス抜けはじめの、しょぼしょぼになった
銀色の風船みたいなそんな街だ。

この前、深夜の渋谷を徘徊した。

終電を逃して朝まで時間を潰さないといけなくなった。
というよくあるパターンのやつだ。

友人もこの遊びに付き合ってくれることになり、
夜の渋谷全体に漂う、何か起きるんじゃないか。
というそんな気持ちにさせてくれる空気に背中を押されて、

ダラダラと散歩をはじめた。

さっそく道端に人が倒れていた。
救急車呼ばないとかな?えっどうする?
となって、呼吸を確かめたらただ酔っ払っているだけ
で少し安心した。

とりあえず、交番に連絡をして
警官を待っている間に記念に撮っておいた。

渋谷で倒れている人

しばらく離れた距離からみていると、
誰も声をかけようとしない。

色んな人が何もなかったように通り過ぎる中で、
1人の女性が勇気を出して生存確認していた。

渋谷で生存確認をする女性

彼女の行動には迷いがなく、周りを気にする様子もなく、
すぐに手を差し伸べた。

僕の場合は、多少どうしようか迷ってしまった部分があった。
自分もこの女性のようになろう。そう思わせてくれる
1シーンだった。女性は呼吸を確認し、命に別状はない。
ということが分かると、去っていった。

警官はまだ来ない。

男性がまだ倒れている中、
僕のすぐ後ろでサラリーマンが電話で
話している声が聞こえた。

「あー、渋谷は今日も平和だなァ〜〜!」

すべてがハリボテのつくりものみたいな街だ。
目の前の光景とこの男性のあまりの高低差のある
状況と渋谷の異世界感におどろき、思わず

友人と「なんかすげぇな……渋谷」

と漏らしてしまった。しばらくして、
警察に無事保護されたのを
見送り、再びダラダラと歩いていると、

警官が沢山いるのが見えた。
白髪に作業服のおじさんがブツブツ言いながら
警察官3人に囲まれて立ったり、
座ったりを繰り返している。

あまり見慣れない光景ではあるが、
ここ渋谷では日常的な風景である。

そのゴタゴタしているすぐ横で、
「一発ギャグやります」と丁寧に書かれた
ホワイトボードを掲げて1人、
口に手をそえながら不安そうな表情で
その一部始終をみている若手芸人らしき男がいた。

トラブルの真横で持ち場を離れるわけにもいかず、
不謹慎さを考慮してか、一発ギャグもできずに、
ただただ、路上であたふたしていた。

日頃のストレスが溜まってどこにもぶつける事が
できない怒りや悲しさを呪文のようにブツブツつぶやきながら
警察に囲まれる中年と、その横で、今夢への一歩を
踏み出すために路上ギャグを披露する青年。

そのコントラストが激しくて、
毎回渋谷にはおどろく。渋谷の天使と悪魔はとても仲がいい。

友人と「渋谷ってやっぱすごいね」

っと話しながら、すこし歩くと渋谷ハチ公近くで
ジャズの気持ちのいい音色で演奏している集団がいた。
時刻は0時30分。眠らない街というのはホントのようだ。
周りは人だかりができており、ドラムやキーボード
様々な楽器でその瞬間に飛び出る音の波に
スーツ姿の中年や半袖姿の外国人が気持ちよさそうに踊っている。

お金を払って聴いてもいい

というクオリティで大変気持ちよかった。

友人と「渋谷って最高だなぁ」

なんて言いながら、
コンビニでお酒を買って瓶ビール片手に
また街を歩いた。

この楽しそうな空間から1分ほど離れた建物では
制服姿の女子高生がしゃがみながら
うつむいているのが見えた。魂が抜けきった様な顔をしている。
警察に囲まれて補導されているようだ。

警視庁24時なんかでよくみかける家出少女のシーンだ。

友人と「あのテレビのシーン、ほんとにあるんだね」

と興味深く目を細めながら、また足を進めた。

すると、渋谷のTSUTAYAのあたりで、
全身白装束にひと回り大きなサングラスをかけた人が
胸のあたりにA4サイズのノートを両手で掴みながら
立っている姿が見えた。

友人と「ちょっと行ってみようよ、何アレ」

と言いながら興味本位で近づいてみると、
その白装束は既にヤンキー少年に絡まれていた。

そっと近づいて聞き耳を立てていると、
声が聞こえてきた。

おおおい!!てめぇえ。
何が占いだよ。きもちわりいな

どうやら、その白装束は
女性の路上占い師らしい。

友人と目の前を通り過ぎてみると
ノートに数十センチ近づかないと分からないぐらい
小さい文字で「占いやります」と自信なさそうに書かれている。

おい!早く占ってみろよ。

ヤンキーはニヤニヤしながら、その女性に詰め寄っている。
しばらく、どうなるのかと見ていると、
その占い師は声を張り上げて言った。

「あなたのその態度では、占えません!お仲間のその1人と
あの顔の長い人なら占えます」

おいい!!笑
俺かよ笑

占い師の女は、ヤンキーの仲間の中でも、
真面目そうなタイプの人を指名し、あろうことか、
僕のところを指さして、顔ながと言いながら指名してきた。

なぜか、深夜の渋谷、
ナゾの白装束の占い師じきじきに指名され、
知らないヤンキーと共に占いを受けることになった。

最初に絡んできたヤンキーは、遠くからその様子を見ている。
占い師は真面目タイプのヤンキーに一生懸命
占いをしているが、

「あなたは、月と太陽で言ったら、月の側面があるの
その月の側面を大事に持ち続けて、もっと●☓▲」

たしか、このような事を言っていた。
さすが、真面目そうなヤンキー。相手の話をどうにか
理解しようと意外と真面目に聞き入っていたが、
頭には大きなハテナが浮かんでおり、時折、首を傾げていた。

なぜか、占い師の話す意味が分かってしまったので、
その場で、通訳としてすべて翻訳していた。(なんなんだ俺は)

占いの説明がだいぶ長かった。10分ぐらいかかったと思う。
仲間のヤンキーも、「もう行こうぜ!」と言って、
ぶつくさ言いながら去っていった。

占い師に話を聞くと、世の中を変えたくて、
こうして細々と活動をしているらしい。
そのサングラスはどうしてかけてるの?
と聞くと、犯罪に巻き込まれるから!

と言っていた。

逆にその怪しい格好と、過度な警戒が
ヤンキーや不審者を引き寄せていることを
伝えようか迷ったが、彼女のサングラスの奥にある
まっすぐで何も汚れていない瞳がきらんと光ったような気がして、
伝えるのは止めた

こういう面白い人に会えるのも、夜の渋谷の、
醍醐味かもしれない。

友人と「渋谷って変な街だね」

っと言いつつ、占い師にさよならして
歩いていくと赤や黄色の様々な色で彩られた
カーテンのような装飾を床に置き、
その上でポンポコ太鼓を鳴らしながら、
絵を描いている人がいた。

せっかくなので、路上アーティストに
世間話をもちかけてみると、
どうやら上京したばかりらしく、

この近くにある「知らない人の家」に住んでいるらしい。
その「知らない人の家」は誰でも気軽に入れるらしく、
行くと知らない人同士が集まる空間になっているのだと、
そう言って、紙をクシャクシャに丸めたように表情で笑った。

具体的にどんな家なのか、気になったが、
深い事情がありそうな感じもしたので、止めておいた。

渋谷駅の方を見ると、喧嘩しているカップルと、
長々とキスをしているカップルがそれぞれ隣同士並んでいた。

夜の渋谷はおもしろい。

黒板のような空に白いチョークで次々と
人間模様が描かれては消えてゆく。
ここは、非日常と日常が交差する、
人のすべてがあらわになる。そんな街だ。

今日も渋谷は平和で、渋谷は日本の東京で、
流行のど真ん中で、トラブルのど真ん中で、

そんな最先端の中で交差するドラマを
見ていると、なんだかなんとも言えない
宇宙の神秘を垣間見た気がして、呼吸が深くなる。

たまには、

夜の渋谷、という映画の出演者に、
なってみるのもいいかもしれない。

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